2015年 千葉大学医学部 生物 過去問 解説
解答方式 | 時間 | 大問数 | 難易度 |
記述・穴埋 | 60分 | 4問 | 標準~やや難 |
■設問別分析
大問 | 区分 | 内容 | |
1 | 光合成 | 問1の知識穴埋問題に関しては基本的な事項が問われている。問2ではNADPHの役割に関する記述問題が出題。PGAの還元→GAPの流れに関わっているなどカルビン・ベンソン回路を詳細に覚えておきたい。問3のH2O型の光合成に関する記述は、問われ方がやや抽象的で答えにくい。光化学系における一連の流れから完結に説明したい。問4は頻出。共生説を説明できるよう暗記しておく。問5は基本的な問題。光合成細菌は葉緑体を持たないことに注意。
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標準 |
4 | 発生・生殖細胞 | 問1生殖細胞の発生に関する問題。始原生殖細胞の分化に関する問題は、染色体数や減数分裂のどの過程なのかなど問われ方が多様である。また、ヒトの場合受精後の時期と生殖細胞の様子の関連での出題も多い。名前も同じようなものが多く、混同しやすいので整理して覚えておく。問2プログラムされた細胞死。(アポトーシス)似たようなものにネクローシス(壊死)があるが、混同しないようにしたい。問3は頻出の問題。体細胞分裂・減数分裂ともにⅰ細胞あたりの染色体数ⅱ染色体あたりのDNA量ⅲ細胞あたりのDNA量を区別して覚えておく。問4は父方の遺伝情報に関する記述ともう一つ、受精時の具体的な精子の働きについて言及したい。中心体の形成についての記述が妥当。問5は実験1・2で対照実験として行われている操作で、何の条件が取り払われたり、付加されているかを考えれば①生殖細胞質には生殖細胞をつくる働きがあること②生殖細胞質をもった細胞は、移動中には分化の方向性は決まっていない。(その分化には生殖層への移動が必要であることが予想される)。の2点を記述する。 | 標準 |
5 | 遺伝情報の発現 | 突然変異・オペロンに関する問題。問1問2は完答したい。タンパク質はその立体構造によって特定の働きをしているため、その機能が変化したということは、構造が変化したということである。問3は問題文の読み取り方によっては答えが大きく変わる。精原細胞の2本の相同染色体(4本のDNA鎖)のうち一部(1本のDNA鎖)に変異があったと読み取らなければならない。DNAの複製で変異後のATGT領域は複製されない(相補的なTACA領域を作るため)ので結局精子4つのうち一つが変異したDNAを持つことになる。問3はタンパク質の分子量を手がかりに選択肢を消去法で選べば正答に行き着く。また、(1)が(2)のヒントになっている。 | 標準~やや難 |
6 | 免疫 | 獲得免疫に関する問題。問1問2は完答したい。問3はやや専門的な内容である。動物から作られる血清(抗血清という)には様々な抗体やアルブミンに代表されるタンパク質が含まれる。血清を供与されたヒトの免疫系の反応により、抗血清自体を非自己と認識し、抗原抗体の複合体をつくり、様々な部位に沈着することで、臓器の機能不全が起こるのが「血清病」。つまり、抗血清中の目的の抗体以外の物質が有害反応を起こすのである。それを防ぐために免疫グロブリン製剤が現在では主流。問4以降は完答すべき問題。 | 標準~やや難 |